カウンセラー(ご挨拶)
私はこれまで臨床心理士・公認心理師として、精神科のクリニック、大学の発達臨床センター、児童養護施設などで様々なクライエントとお会いしてきました。私がお会いしてきたクライエントが困っていらっしゃったことは本当に様々でしたが、(例えば、大人であれば、「職場の人間関係がうまく行かない」「家族とよい関係が作れない」「元気が出ない、気分が落ち込む、眠れない」「感情のコントロールが苦手」「食べられなくて痩せてしまう、たくさん食べて吐いてしまう」といった困りごとがありましたし、子どもだと、「発達障害で、家族との関係がうまく行かなかったり、友人とトラブルを起こしてしまったりする」「不登校」「チック」「親子関係がうまくいかない」「かんしゃく」「場面緘黙」などがありました)、多くのクライエントが自分の問題に粘り強く取り組むことで、自分を変化させ、そして、問題を乗り越えて行かれました。
そのような経験を通して私は、人は自分でも気づかない能力や資質を持っていること、そして、人は「自分が理解された」と感じた時に、大きく変化(成長)し、自分でも気づいていなかった能力を発揮するようになるのだと考えるようになりました。したがって、クライエントが「誰かに本当に理解された」「誰かに本当に受け入れられた」と感じられること、そして、そのことによってこれまで使うことが難しかった能力や資質を十分に使えるようになることをカウンセリングの目標と考えています。
私はカウンセラーとして活動する上で2つのことを大切にしています。
1つ目は、「カウンセラーからの丁寧な説明」と「相談者(クライエント)の同意」です。 カウンセリングは(特に初めてカウンセリングを受ける方にとっては)、何を話せばよいのか、どのくらいの回数が必要なのか、そして、どのようなそしてどのくらいの効果が期待できるのかなど、分からないことが多いのではないでしょうか。
もちろん、カウンセラーにもすべてが見通せるわけではないので、すべての質問に明確に答えられるわけではないのですが、可能な範囲でできるだけ丁寧に説明し、相談者に十分納得してもらった上でカウンセリングを進めることを大切にしています。(子どものカウンセリングを行う場合、子どもが納得していることと同時に保護者が納得していることも重視しています)。
2つ目は、相談者のペースを尊重することです。もちろん、相談者は「早く治りたい(変わりたい)」と思っていらっしゃるでしょうし、私も相談者ができるだけ早く目標を達成できるように努めてもいます。しかし、人のこころは複雑です。「早く変わりたい」と思う一方で、急に変化してしまうことに対する戸惑いもあるかもしれません。
したがって、あまり焦って相談者に変化してもらおうとするのではなく、相談者に生じた変化を相談者が納得していることを確認しつつカウンセリングを進めていきたいと思っています。
聖蹟桜ヶ丘心理相談室
波多江 洋介