子どもの発達障害

 発達障害は環境(保護者の育て方などの)が原因ではありませんが、発達障害の子どもの発達や成長を支えていくにあたって、環境が重要な役割を果たしていないわけではありません。むしろ発達障害の子どもの中には敏感な子どもが多く、適切なカウンセリングを行うことによって、その発達や成長を積極的に促すことのできる子どもが少なくないと考えています。

 例えば、自閉症スペクトラム障害のお子さんは、他人とのコミュニケーションが苦手な傾向にありますが、守られた環境の中で、自分の考えていることや感じていることを誰かに理解されたり、認めてもらったりする。そのような体験を通して、他者に対する不安が徐々に緩和して、自分の持っている能力をより発揮できるようになることもあります。また、注意・欠如多動症(ADHD)のお子さんは、一般的に、自己評価が低く、そのことがさらなる行動のコントロールの悪さを招くことがありますが、カウンセリングを通して自分を受容されるという経験が自己評価を高め、自分の行動をコントロールする力を向上させることもあります。

大人の発達障害

 発達障害は、その人が生まれ持った特徴(個性)なので、カウンセリングによって相談者(クライエント)が持っている発達障害的な特性がまったくなくなったりすることは難しいかもしれません。しかし、相談者が持っていらっしゃる能力を活かしつつ、様々な工夫を行うことで、職場などへの適応力を上げたり、人とのコミュニケーション能力を上げたりすることは可能だと考えています。発達障害を抱えた大人の方は特に親密な人間関係(夫婦・家族、異性のパートナー、友人)を苦手とする方が多いと思われますが、カウンセリングを通して自分の特徴を理解することによって、こうした人間関係のありようも修正が可能だと考えています。